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レザー(革製)ミュート

アンカー 1
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ミュートの形状にはさまざまなタイプがありますが、このWiessmeyer Violins製の革製ミュートは、ブリッジの形に合わせた独特な切れ込みの構造を持ち、2種類の異なる装着ポジションによって異なるミュート効果を得ることができます。一つは、一般的な練習用ミュートのようにブリッジの上にしっかりとはめ込む方式「フル・ソルド(full sord.)」、もう一つは、一般的なスライド式ミュートのようにブリッジに押し当てて使用する方式「メゾ・ソルド(mezzo sord.)」です。

ゴム製と違いブリッジを汚さない点などの利点がありますが、フル・ソルドの状態でG線をある程度の音量で演奏すると、ミュートが振動して動き出し、浮いたり、最終的に楽器から外れてしまうことがあります。また、使用していないときにヴァイオリンに装着したままにしておくのが難しく、演奏中は別の場所に置いておく方が安全だと考えられます。

2つの装着方法を比較すると、一般的にフル・ソルドは音の幅と奥行きを抑えた中で、より丸みのある音を生み出します。一方でメゾ・ソルドは、音に幅と奥行きがありながら、音によってはやや鋭さを感じさせることがあります。これらの特徴は、センツァ・ソルド(ミュートなし)の音に比べると特にはっきりと表れます。フル・ソルドの音色は、一般的な演奏用ミュートよりも暖かく、それでいてしっかりとした芯のある音と言えるでしょう。一方、メゾ・ソルドはより音が開かれた印象ですが、高音域では芯の集中した響きが際立ちます。

しかし、このミュート最大の利点は、2種類の明確に異なる音色を簡単に切り替えられる点にあります。その意味で、ハイフェッツ・ミュートの方がより幅広いミュート効果を持つかもしれませんが、音色を細かく調整する操作性では劣る場合があります。したがって、このレザーミュートは、ミュートを使いながらも多様な表現や音楽的役割が求められる作品に適していると言えるでしょう。

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